この記事ではFP3級の難易度はどの程度なのかを、試験の内容や過去の合格率をご紹介しながらお伝えしていきます。
結論を先に書くと、FP3級試験の難易度はそれほど高くはありません。
FP3級はFP資格全体の中でも入門に位置するレベルで、頑張っても合格できないというような資格ではありません。
ただし、FP3級の試験は職業能力開発促進法の規定により国が認定をしている資格です。
FP3級は、国が認定している資格の中での難易度は低いものの、あまた存在する民間資格も含めると難易度が低いとは言いかねます。
FP3級の難易度はとても高いわけではないけれど、少なくとも初めて学ぶ人にとっては、そこそこの難しさがあるはずです。
目次
FP3級試験の内容
それでは、FP3級試験の内容についてお伝えしていきます。
先ほどお伝えしたとおりFP3級は国が認定する「技能士」の資格で、FP3級試験に合格して得られるのは「3級ファイナンシャルプランニング技能士」という名称です。
FP3級試験のレベルと受検資格
ファイナンシャルプランニング技能士の資格は1級から3級まであり、難易度は1級がもっとも高くなります。
受検資格については、1級と2級については細々とした条件がありますが、FP3級は「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」で、誰でも受けられるのが特徴です。
たとえば、ある程度の実務経験のある方ならばFP2級からの受検も可能でしょうが、初学者の方はFP3級から始めるのが一般的です。
FP3級試験の実施回数と実施機関
FP3級試験は、原則として1月と5月と9月の年に3回、4か月ごとに開催されます。
他の資格と比較すると受験回数が多いのがFP3級試験の特徴で、受検機会が多いことも難易度につながっています。
FP3級試験の実施機関は2つあります。
一つは「一般社団法人金融財政事情研究会」(金財)、もう一つは「特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会」(日本FP協会)です。
実施団体は2つありますが、試験日は同じ、試験時間も同じ、受検料も同じ。
どちらで受検をしても、3級ファイナンシャルプランニング技能士の資格を取得することができます。
FP3級試験の種類
FP3級試験は、学科試験と実技試験の2つで行われ、両方に合格することが求められます。
ただし、1回の試験で両方に合格しなければいけないわけではなく、どちらか一方に合格しておけば、一定期間内にもう一つに合格することで技能士の資格を取得することができます。
学科試験と実技試験は、同時合格しなくても資格取得への道が残されていることも、難易度の評価につながっています。
学科試験の内容と合格基準
FP3級試験の実施機関は金財と日本FP協会の2つがありますが、学科試験の内容は同じです。
出題の範囲は下記に示す6つの分野で、〇×式30問・3者択一式30問の合計60問で、マークシート方式です。
試験時間は120分で、合格基準は60点満点で36点以上です。
正答率6割が合格基準というのは資格試験でよく見かけます。ただ、短文の〇×式・3択式だけというのは、難易度を図る尺度になりそうです。
実技試験の内容と合格基準
実技試験は、金財と日本FP協会では異なります。
何れの実施機関も事例式の設問が主になりますが、金財は「個人資産相談業務」または「保険顧客資産相談業務」から選択。
日本FP協会は「資産設計提案業務」を受検します。
なお、どちらも試験時間は60分で、合格基準は6割の正答です。
まとめ
民間資格を含めればFP3級の難易度は低くはありません。ただ、国が認定をしている資格の中での難易度は高いとまでは言えないようです。
ここまで、FP3級試験についていくつかのことをご紹介してきましたが、FP3級試験の難易度に関する事柄についてまとめてみます。
1 FP3級試験はFP資格全体の中では入門に位置付けられる
2 FP3級試験は誰でも受けられ門戸が広い
3 FP3級試験は年に3回と受検の機会が多い
4 FP3級試験は学科試験と実技試験の同時合格でなくてもよい
以上のことを考えると、国が認定をしている資格の中では、FP3級試験の難易度は高くはないと言えそうです。
FP3級試験の合格率
それでは次にFP3級試験の合格率についてご案内します。ご紹介するのは2019年に開催された3回の試験の結果です。
なお、2つの実施機関それぞれについてご紹介をしていきます。
金融財政事情研究会
学科試験
実受検者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2019年1月 | 26,256人 | 13,631人 | 51.92% |
2019年5月 | 22,258人 | 9,518人 | 42.76% |
2019年9月 | 27,677人 | 17,374人 | 62.77% |
2019年5月の42.76%という数字は過去の試験の中でもかなり低い部類に属しています。過去の試験では合格率が90%を超えたこともあります。
ばらつきが大きいので平均では一概に判断できないものの、学科試験の合格率は概ね50%~70%で推移しているように見受けられます。
実技試験 個人資産相談業務
実受検者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2019年1月 | 14,863人 | 8,355人 | 56.21% |
2019年5月 | 11,276人 | 6,129人 | 54.35% |
2019年9月 | 13,843人 | 6,291人 | 45.45% |
2019年9月の45.45%という数字は過去の試験の中でも低い部類に属しています。
個人資産相談業務もばらつきが大きいので平均では判断できないものの、合格率は学科試験と同様、概ね50%~70%で推移しているように見受けられます。
実技試験 保険顧客資産相談業務
実受検者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2019年1月 | 14,903人 | 5,860人 | 39.32% |
2019年5月 | 13,046人 | 5,852人 | 44.86% |
2019年9月 | 13,583人 | 5,883人 | 43.31% |
保険顧客資産相談業務の合格率は、個人資産相談業務よりも幾分低いようですが、それでも概ね40%~60%で推移しているように見受けられます。
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
学科試験
実受検者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2019年1月 | 23,270人 | 17,240人 | 74.09% |
2019年5月 | 17,865人 | 12,340人 | 69.07% |
2019年9月 | 22,266人 | 17,388人 | 78.09% |
学科試験に関しては、金融財政事情研究会も日本ファイナンシャル・プランナーズ協会も同一の内容で実施されます。
3回の試験を見る限りでは、合格率に差異が見受けられますが、この要因については定かではありません。
実技試験 資産設計提案業務
実受検者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2019年1月 | 21,950人 | 18,303人 | 83.38% |
2019年5月 | 16,771人 | 14,493人 | 86.42% |
2019年9月 | 20,332人 | 16,159人 | 79.48% |
実技試験に関しては、金融財政事情研究会と日本ファイナンシャル・プランナーズ協会では異なる問題が出題されます。
こちらも3回の試験だけでは判断できないものの、合格率については明らかな差異が認められます。
さいごに
この記事では、FP3級試験の難易度についてお伝えをしてきました。
国が認定する資格の中では、FP3級の難易度はそれほど高くはないことは、試験の内容を通してご案内をしてきました。
また記事の後半では僅か3回ですが合格率などをお伝えしてきました。
合格率については、金融財政事情研究会と日本ファイナンシャル・プランナーズ協会では若干の差異が認められるものの、国が認定する資格という前提を考えると決して低くないと判断できそうです。
数字の上から見ても、FP3級の難易度はそれほど高くはないと言えそうです。
FP3級の受検を考えている方は、ぜひ、自信をもって試験に臨んでください。そして、もし可能であればFP2級の試験も目指してください。