このサイトでは「50歳台で考える老後のお金」をテーマに様々なことをお伝えしています。
ところで、老後のお金を考える上でとりわけ重要なのが就労による収入です。
何歳まで働くのかは世代を問わずライフプラン上の重要な課題ですが、とりわけ老後の生活が視野に入る50代の方にとっては喫緊の課題になってきます。
50代の方の中でも、既に何歳まで働くのかを決めている人もいます。
しかし、多くは何歳まで働くのかを決めていない、あるいは何歳まで働くのかを決めかねている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、総務省の労働力調査で公表されている資料の中で、主に55歳以降の就業者数や就業率をご紹介していきます。
あくまでも統計上の数字なので、必ずしも一人一人の方にマッチするわけではありませんが参考にすることはできそうです。
労働力調査による55歳以上の就業者数
労働力調査は総務省統計局による調査で、1946年に始まっています。
現在の労働力調査は毎月実施されていて、日本の労働市場を様々な視点から分析しています。
ここでご紹介するのは、長期時系列データの中で15歳以上を対象とした年齢別就業者数です。
データそのものは50年分が記載されていますが、ここでは2000年から2019年まで概ね5年ごと及び55歳以上の方のデータをお示ししていきます。
長期時系列表 年齢階級(5歳階級)別就業者数及び就業率
15歳以上就業者総数 | 55歳~59歳 | 60歳~64歳 | 65歳~69歳 | 70歳以上 | |
2000年 | 6,446 | 639(73.0%) | 392(51.0%) | 256(36.2%) | 227(15.4%) |
2005年 | 6,356 | 747(73.8%) | 442(52.0%) | 250(33.8%) | 245(13.6%) |
2010年 | 6,298 | 657(74.5%) | 570(57.1%) | 302(36.4%) | 269(12.8%) |
2015年 | 6,401 | 599(78.7%) | 537(62.2%) | 401(41.5%) | 330(13.7%) |
2019年 | 6,724 | 632(82.3%) | 530(70.3%) | 428(48.4%) | 464(17.2%) |
※ 就業者数の単位は万人、( %)は就業率。
※ 就業率は、各世代の人口から実際に就業している人数の割合を示したもので百分率で表されます。
長期時系列表でわかることと背景
上記の表でわかるのは、55歳~59歳、60歳~64歳、65歳~69歳、70歳以上の各世代において、就業率が伸びていることです。
また、その伸びは2015年から2019年まで、つまり最近の伸びが顕著であるようです。
その理由としては、さまざまにあります。
たとえば「人生100年時代」という言葉が日本で普及したのは2016年の頃。「老後2000万円問題」が叫ばれたのは2019年の頃です。
人生100年時代で多くの人が老後の長さを意識し、老後2000万円問題で老後貧乏・老後破産に敏感になっています。
また実際問題として、老後の収入の柱である公的年金は、今でこそ65歳前から受け取れる人がいるものの、間もなく65歳支給開始になります。
そして、多くの人が公的年金は今後給付削減されていくことを知っています。
さらに、公的年金の給付削減などを背景として、雇用保険の見直しも行われていますが、こちらはできるだけ長く働いてもらおうという動きが顕著になっています。
「人生100年時代」や「老後2000万円問題」という言葉により、多くの人が老後に不安を覚えるようになりました。
また公的年金の給付削減を背景として、できるだけ長く働いてもらおうという施策が行われています。
そうした複数の要因が重なり、高齢になっても働くという姿が一般的になりつつあります。
まとめ 50代のあなたは何歳まで働くのか
現在50代の方の老後はまだまだ先です。
20年~30年前でしたら60歳になったら老後というのが当たり前だったかもしれません。でも現在は状況が全く異なります。
表でお示ししたとおり、高齢期の就業率はどんどんと伸びています。
この伸び具合が今後も続くわけではないかもしれませんが、かといって高齢期の就業率が激減することも考えづらいのではないでしょうか。
では、50代のあなたは何歳まで働くのか。もちろん一人一人の置かれた状況は異なるので一概には言えません。
ただ統計で示された2019年の数字に基づいて考えると、
60歳から64歳までの就業率は70.3%。この世代の方は10人中7人が仕事をしている。
65歳から69歳までの就業率は48.4%。この世代の方は、10人中5人が仕事をしている。
70歳以上の就業率は17.2%。この世代の方は、概ね10人中2人が仕事をしている。
就労形態はさまざまにありますが、50代の方が何歳まで働くのかについては、現在でも10人中5人が仕事をしている65歳から69歳までが主流になりそうです。