昭和36年4月に始まった国民年金ですが、当初の制度は今とは大きく異なっていました。
その後、昭和61年4月に「年金法大改正」が行われ、国民年金は現在の姿に近くなっています。
たとえば年金法大改正を契機に、20歳以上60歳未満の人はすべて国民年金の強制加入者となり、第3号被保険者の仕組みも新たに設けられています。
また、国民年金から支給される年金の名称も「老齢基礎年金」になっています。
ところで、老齢基礎年金は上限の金額があり「満額」と称しています。そして、老齢基礎年金の満額は原則として毎年度見直しをされています。
この記事では、年金法大改正が行われた昭和61年度から令和4年度までの老齢基礎年金の満額の推移と、老齢基礎年金の満額の計算対象になる期間をご紹介します。
目次
老齢基礎年金の満額の推移1 昭和61年度~昭和63年度
年度 | 老齢基礎年金の満額 |
昭和61年度 | 622,800円 |
昭和62年度 | 626,500円 |
昭和63年度 | 627,200円 |
老齢基礎年金の満額の推移2 平成元年度~平成10年度
平成元年度 | 666,000円 |
平成2年度 | 681,300円 |
平成3年度 | 702,000円 |
平成4年度 | 725,300円 |
平成5年度 | 737,300円 |
平成6年度(9月まで) | 747,300円 |
平成6年度(10月から) | 780,000円 |
平成7年度~平成9年度 | 785,500円 |
平成10年度 | 799,500円 |
老齢基礎年金の満額の推移3 平成11年度~平成20年度
平成11年度~平成14年度 | 804,200円 |
平成15年度 | 797,000円 |
平成16年度~平成17年度 | 794,500円 |
平成18年度~平成20年度 | 792,100円 |
老齢基礎年金の満額の推移4 平成21年度~平成30年度
平成21年度~平成22年度 | 792,100円 |
平成23年度 | 788,900円 |
平成24年度 | 786,500円 |
平成25年度 | 778,500円 |
平成26年度 | 772,800円 |
平成27年度~平成28年度 | 780,100円 |
平成29年度~平成30年度 | 779,300円 |
老齢基礎年金の満額の推移5 平成31年度~令和4年度
平成31年度(令和元年度) | 780,100円 |
令和2年度 | 781,700円 |
令和3年度 | 780,900円 |
令和4年度 | 777,800円 |
老齢基礎年金の計算対象
では、老齢基礎年金額の計算対象になるのは、どの期間でしょうか。
列記すると次の通りになります。
① 国民年金第1号被保険者
② 国民年金第3号被保険者
③ 国民年金第2号被保険者(20歳以上60歳未満)
国民年金第1号被保険者
第1号被保険者は、第2号被保険者・第3号被保険者以外の方です。
わかりやすくいえば、自営業などの20歳以上60歳未満の方が第1号被保険者になります。
第1号被保険者は、所得に関わらず定額の国民年金保険料を自分で納付します。
所得が低い方は支払いが困難になりますが、こうした方は申請をすることで「免除制度」を受けることができます。
未納とは異なり、免除は承認をされているので、支払った方よりも少なくなりますが、老齢基礎年金の計算対象になります。
国民年金第3号被保険者
第3号被保険者は、後述する第2号被保険者に扶養されている配偶者で20歳以上60歳未満の方です。
第3号被保険者はご自身で国民年金保険料を支払ってはいませんが、支払っているとみなされて老齢基礎年金の計算対象になります。
国民年金第2号被保険者
第2号被保険者は厚生年金・国家公務員・地方公務員・私立学校教職員などです。
この方々の加入期間のうち20歳以上60歳未満については、支払った厚生年金保険料等に国民年金保険料が含まれています。
給与明細に書かれていないので気がつきにくいところですが、20歳以上60歳未満で支払った保険料等からも老齢基礎年金が計算をされています。
さいごに 老齢基礎年金を満額にするには
国民年金は、20歳以上60歳未満が強制加入の期間です。
言い換えると、この間、すべて国民年金保険料を納付していれば、65歳から終身で満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。
上記のうち、国民年金第2号被保険者と第3号被保険者に未納は発生しません。
したがって20歳以上60歳未満の40年間が、第2号被保険者と第3号被保険者の期間だけであれば、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。
また、国民年金第1号被保険者として国民年金保険料を支払っていれば問題はありません。
ただ、国民年金保険料は所得に関わらず一定なので、免除や猶予を受けることもあります。免除や猶予があると老齢基礎年金は満額になりません。
もちろん、未納があれば老齢基礎年金が満額になることはありません。
この記事では、老齢基礎年金の満額の推移と計算対象になる期間をご紹介してきました。
老齢基礎年金の満額は、物価や賃金に基づいて決められます。
さらに現在は、国民年金保険料を支払う人が少なくなり、老齢基礎年金を受け取る人が多くなるという少子高齢化の影響で、年金額を抑制する仕組み(マクロ経済スライド)も設けられています。
老齢基礎年金の満額の推移を見ると、平成15年度以降、老齢基礎年金の満額は80万円を下回っています。どうやら老齢基礎年金には「80万円の壁」があるみたいです。
そんなことから老後不安を訴える方も多くなっています。
しかし、老齢基礎年金は65歳から終身で受け取ることができます。老齢基礎年金は満額に近づけるよう作っていきたいものです。