この記事では、FP2級試験に独学で合格するための勉強方法について、5つのステップに分けてお伝えします。
ところで、FP資格は他の資格よりも複雑な仕組みになっているので、まずはそのあたりからご案内をしていきます。
FP2級は、職業能力開発促進法の規定により国が認定する資格で、難易度が最も高いFP1級と、入門に位置付けられるFP3級の中間に位置しています。
FP2級試験は、正式には2級ファイナンシャル・プランニング技能検定(2級FP技能検定)という名称で、合格して得られる称号は2級ファイナンシャル・プランニング技能士(2級FP技能士)です。
また、FP技能検定の実施機関は、金融財政事情研究会と日本FP協会の2つがあります。
金融財政事情研究会が実施しているのは国家検定であるFP技能士だけです。それに対して、日本FP協会はFP技能士に加えて、独自に認定している資格があります。
日本FP協会は2級FP技能士に加えて、AFP(Affiriated Financial Planner・アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)。
1級FP技能士に加えて、CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®・サーティファイド ファイナンシャル プランナー®)を認定しています。
3級技能士については、日本FP協会が独自に認定している資格はありません。
ファイナンシャルプランナーといえば、AFPまたはCFP®を指すことが一般的です。
では、FP2級とAFPの違いはどこにあるのでしょうか。
FP2級とAFPでは様々な点で違いがありますが、ここでは試験制度についてお伝えをしていきます。
FP2級試験の受検資格についてはいくつかの要件があるものの、要件さえ満たせば受検することは可能ですし、合格をすれば2級ファイナンシャル・プランニング技能士(2級FP技能士)を名乗ることができます。
一方、AFP資格はFP2級試験に合格するだけでなく、日本FP協会が認定する認定教育機関で実施するAFP認定研修を修了することが要件になります。
FP2級試験は独学でも受検が可能であるのに対して、AFPは独学では取得はできません。
この記事では、独学で受検可能なFP2級試験に合格するための勉強方法についてお伝えをしていきます。
目次
FP2級試験合格のためのおすすめの勉強方法
FP2級試験合格のための勉強方法としては、通学講座・通信講座・独学の3つがあります。
この中で、まずは独学のメリットとデメリットについてあげてみます。
独学のメリット
・ 費用を抑えることができる。
・ 自分のペースで学習できる。
・ 余計な雑音が入ってこない。
独学のデメリット
・ 自分のレベルがわかりにくい。
・ 勉強を続けるのに強い意志が必要。
・ 有用な情報が入ってこない可能性がある。
2級FP試験は独学での受検が認められていますし、実際に独学でも合格することはできます。
ただし、あまりおすすめできないというのが実際のところです。
その理由は、上記のデメリットによる影響がことのほか大きくなってしまう可能性があるからです。
独学での2級FP技能士の勉強は、自分のレベルを図ることがとても難しいと思われます。
高校や大学受験であれば共通模試のようなものもあるでしょうが、FP試験にはありません。試験を受けて初めて自分のレベルに気がつきます。
何回も受けるという気持ちがあれば別ですが、資格試験はできるだけ時間をかけずに合格したいもの。
したがって、自分のレベルがわかりにくい独学というのはあまりおすすめはできません。
また、通信教育や通学講座では最新の情報が入ってくる環境がある程度は整えられています。
しかし、独学では最新情報が得られない可能性があります。
最新版のテキストであっても、試験における各課目の背景にある法律は常に変化をしています。
通常、市販のテキストは1年に1回の改訂なので、年度途中の新しい情報などはどうしても漏れてしまいます。
さらに言えば、通信講座や通学講座には2級FP技能士だけでなくAFPをセットにしたものもあります。
最初から2級FP技能士だけを目指すのであれば別ですが、AFPも合わせて目指す方は効率の面を考えても通信講座や通学講座がおすすめです。
以上のことを考えると、2級FP技能士試験に独学で合格しようというのは相応のリスクがあると思われます。
できることなら独学は避け、通信教育、通学講座を選択することをおすすめします。
ただ、そうはいっても通学講座や通信講座の受講がどうしても困難な方がいるのは事実です。
たとえば、普段の仕事の中で一部分であってもFPに関する知識や経験を有する方であれば独学という選択もありだと思います。
具体的に言えば、銀行や証券会社に勤めている方、保険会社に勤めている方、あるいは不動産会社に勤めている方。
また、税理士の資格を有する方なども確実に優位性をもっているので独学という考えも出てくるかと思います。
このようにFP2級試験は通信教育、通学講座がお勧めなのは確かですが、独学を絶対に否定することもできません。
ただ独学で勉強を進めるのであれば、十分な計画性をもって臨みたいところです。
いくつかの要件があるとはいえ、その要件を満たしていれば2級FP技能士は独学でも資格取得をすることは十分に可能です。
6課目の何れかについてある程度の経験を有している方、既に基礎的な知識を固めている方、そうした方は一番費用がかからない独学という方法を選ぶのも良いのではないでしょうか。
次に、FP2級に独学で合格するための勉強方法を5つのステップに分けてお伝えします。
FP2級に独学で合格するための勉強方法
1 勉強する期間を設定する
2 テキストの選択を慎重に行う
3 アウトプットを重視する
4 100点を目指さない
5 継続をする
1 勉強する期間を設定する
独学は何よりもセルフコントロールが大切で、そのためには事前の計画づくりがとても重要になります。
勉強を始める前に、受検までに勉強すべきトータルの時間を考えます。次に1か月あたりでどの程度の勉強時間が取れるのかを確認します。
これで、何か月勉強すれば良いのか、勉強する期間を設定することができます。
2 テキストの選択を慎重に行う
通学講座や通信講座は最初からテキストが決まっているのに対して、独学はテキスト選びも自分でしていかなければいけません。
FP2級の勉強を独学で行う場合、テキストの選択が重要なポイントになります。
では、テキスト選択のポイントとしてはどのようなものがあるのでしょうか。
金額では選ばない
出版社では選ばない
発行年月日を確認する
フィーリングを大切にする
テキストは必要最小限にとどめる
それでは、一つ一つを簡単にご説明していきます。
テキストは金額では選ばないというのは、高価なテキストが良いというわけではないからです。たとえば、内容ではなく装丁などで高価になっていることもあります。
テキストは出版社では選ばないというのは、有名な出版社のテキストが必ずしも良いテキストであるとは限らないからです。出版社は見ずに、テキストをめくってみて選ぶことをお勧めします。
テキストの発行年月日を確認するとは、FP試験では新しい法律などに基づいた出題をされることが多いためです。
その都度の試験要綱を確認すると法律の基準日が示されていますが、その時点以降に発行されたテキストを選ぶのが最善であることは言うまでもありません。
少なくとも、できるだけ最新の情報が入っているテキストを選びたいものです。
テキストはフィーリングを大切にするとは、テキストは購入する前にできるだけ多くのテキストを手に取り内容を確認し、最終的に自分に合ったものを選択することです。
テキストそのものはインターネットでも簡単に手に入りますが、テキストの購入は書店に行くことがおすすめです。
さらに、できるだけたくさんの種類から選択するのが良いので、大きな書店に行くことをお勧めします。
テキスト選びで最も大切なのは、継続できるテキストであるということで、そのための最重要ポイントはフィーリングです。
テキストをパラパラとめくってみて、見やすい、わかりやすい、続けられそうだという感覚はとても大事です。
テキストは必要最小限にとどめるというのは、独学の場合、必要以上にテキストを購入してしまう場合が多いからです。
FP2級は、ある程度、難易度が高いので1冊で済ませるというわけにはいかないかもしれませんが、かといって同じようなことが書かれているテキストを何冊も用意しても意味がありません。
独学で勉強する方は費用を抑えたいという方も多いと思いますが、必要以上にテキストを用意することはその意に反してしまいます。
テキストは必要最小限にとどめるは、効率の良い学習を進めるためにも大切です。
3 アウトプットを重視する
FP2級は、学科試験と実技試験の2つがあり両方に合格する必要があります。
ただ試験そのものは長い歴史があり、常に目新しい出題が出題されるわけではありません。これは学科試験にも実技試験にも共通することで、いずれも出題傾向というのがあります。
試験勉強には、インプットとアウトプットがあります。
インプットは知識を得ること、アウトプットは過去問や予想問題を解いて試験への対応をよくするためのものです。
FP2級は各課目ごとにある程度深い知識が求められるので、インプットの時間は大切です。
ただ、インプットばかりだと問題を解く力が培われず、合格までの道のりが遠くなっています。
FP2級はインプットも大切だけど、アウトプットも大切です。
時間配分は人それぞれなので決めつけることはできませんが、インプット・アウトプット各2分の1の配分でも良いのではないでしょうか。
この場合、アウトプットは同じ問題を何度も繰り返すことが大切です。そして、間違いの多い問題については、インプットのテキストに戻り確認する反復作業が大切です。
4 100点を目指さない
FP2級試験の実施機関は、金融財政事情研究会と日本FP協会の2つで、何れの実施機関も学科試験と実技試験を行っています。
学科試験は、金融財政事情研究会と日本FP協会で同一の問題が出題されます。
実技試験は、金融財政事情研究会と日本FP協会で別々の問題が出題されます。
ただ、学科試験も実技試験も正答率60%で合格になります。
ここで大切なのは、学科試験・実技試験のそれぞれ60%の正答で合格できるということです。
FPの課目は全部で6つあり、たとえば学科試験では6分野が均等な割合で出題されます。
なかには、不動産がどうしても苦手という方がいるかもしれません。仮にこの方が、不動産の問題を全部不正解にしても、全体で60%の正解であれば合格できます。
FP2級試験は苦手な課目があっても、全体でカバーできるというのが魅力です。
また同じように60%で合格できるので、59%はだめだけど100%を目指す必要もありません。
几帳面でまじめな方は100点を目指そうとしますが、試験は合否がすべてです。
60点を目指すと60点は取れないかもしれません。でも80点を目指していれば、仮に8割の実力しか発揮できないとしても、64点(80点×8割)は取れるので合格できるはずです。
100点を目指すと精神的に追い詰められてしまうこともありますが、FP2級試験でその必要はありません。ゆとりをもって合格圏内に入ろうとする心構えも大切です。
5 継続をする
試験勉強で何より大切なのは、諦めず継続することです。
たとえ万全な計画を立てたとしても、思い通りに行くことは案外と少ないのではないでしょうか。
計画を立て勉強を始めたら、一定期間ごとに進捗状況を確認することが大切です。
少しばかり遅れ気味であればピッチを上げるなどの修正が必要ですが、あまりに差が大きくなると諦めてしまうこともあります。
でも、それではあまりにも勿体なさすぎます。
FP2級試験は決して難易度の低い試験ではありません。こうした状況に追い込まれた方は、むしろそれが当たり前だと思って、計画を修正すれば良いだけのことです。
何よりも大切なのは諦めないこと、そいて継続することです。
マインド的な話になってしまいましたが、気の持ちようが試験を受けるためには最も大切なことかもしれません。
まとめ
この記事では、FP2級に独学で合格するための勉強方法を中心にお伝えしてきました。
個人的に言えば、FP2級の勉強で独学はあまりお勧めはしていません。
その理由は、FP2級はそこそこレベルが高いので、効率的に学習を進めるには通学講座や通信講座が望ましいこと。
また、独学で2級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得することはできるものの、AFP資格は取得できないことです。
最初から2級FP技能士に加えてAFPを目指す方については、独学ではなくAFPに対応した通信教育あるいは通学講座をお勧めします。
もっともある程度の知識や経験がある方や、AFP資格を必要としていない方は独学もありだと思います。
何れにしてもFP資格は使える資格です。
勉強を始める前に、2級ファイナンシャル・プランニング技能士だけを目指すのか、合わせてAFP資格も目指すのか。
まず、そこをお決めになって勉強に取り掛かってください。