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厚生年金に支給額上限はあるの?標準額も合わせてお伝えします 

厚生年金のイメージイラスト
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この記事では、老齢厚生年金に支給額上限はあるのか。

また、老齢厚生年金支給額の標準額についても合わせてお伝えします。

国民年金の制度から支給される老齢基礎年金には「満額」という考え方があります。満額は支給額上限ということで、年度ごとに見直しをされるものの概ね80万円です。

では、厚生年金はどうでしょうか。

最初に、老齢厚生年金に支給額上限はあるのかについてお伝えしていきます。

老齢厚生年金の支給額に上限はあるの?

結論を先に書くと、老齢厚生年金に満額という考え方はありません。

老齢厚生年金の計算要素になるのは、厚生年金に加入した期間と、加入期間中の給与や賞与の額です。

老齢厚生年金は、厚生年金の加入期間が長い方ほど、加入期間中の給与や賞与の額が高い方ほど金額も高くなります。

中には中学を卒業して50年間、一つの会社に勤めた方などもいます。この方の給与や賞与はわかりませんが、厚生年金の加入期間が50年と長ければ金額も相当に出るはずです。

老齢基礎年金には満額という支給額の上限はあります。

一方、老齢厚生年金は厚生年金に加入した期間がそのまま計算の要素となります。したがって、老齢厚生年金に支給額上限はありません。

老齢厚生年金の計算要素とは

老齢厚生年金に支給額上限はありませんが、公的年金は社会保障の一つで、老後の生活費の一部を賄うという性格があります。

そのため上限は発生しないとはいっても、それほど高額の老齢厚生年金が支給されるわけでもありません。

繰り返しになりますが、老齢厚生年金は厚生年金に加入した期間と、加入期間中の給与や賞与の額で計算されます。

このうち期間については上限がないので、30年加入すれば30年として、50年加入すれば50年として計算されます。

では、給与や賞与はどうでしょうか。

厚生年金では給与を「標準報酬月額」、賞与を「標準賞与額」という言い方をします。

この記事を書いている時点での標準報酬月額は最高で62万円、標準賞与額は最高で150万円です。

たとえば、1ヶ月の給与が100万円、年2回出る賞与の1回当たりの額が300万円という会社員の方がいたとします。

しかしこの場合でも、標準報酬月額は62万円の上限が適用、標準賞与額は150万円の上限が適用され、その金額に対して一定の保険料率を掛けて厚生年金保険料を計算します。

老齢厚生年金の計算において、期間は実期間が計算要素になるのに対して、給与(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)の額は一定額以下で調整されます。

その結果、老齢厚生年金に支給額上限はないものの、かといって天井知らずの金額になることもありません。

※ 2020年9月1日以降、政令により標準報酬月額上限は62万円から65万円へと引き上げになります。

老齢厚生年金の標準額とは

老齢厚生年金に支給額上限はありませんが、飛びぬけて多い金額が支給されるわけでもありません。

ところで公的年金の額は毎年度見直しをされていて、見直しの都度、厚生労働省からの「お知らせ」があります。

そして「お知らせ」の中には夫婦の場合の標準年金額が月額単位で示されています。この記事では、月額単位を年額換算するなど少し加工をしてお伝えをしていきます。

前提条件

40年間、平均的な年収(約527万円) で就業
40年間、第3号被保険者

年金額

夫婦の年金額約265万円 ①
夫婦の老齢基礎年金(満額)約156万円 ②
夫の老齢厚生年金額約109万円 ①-②

夫は40年間一つの会社で平均的な年収で仕事をしてきた人という前提です。

40年間の厚生年金加入で、老齢厚生年金が109万円ということなので、1年厚生年金に加入することで約27,000円の老齢厚生年金が作られていることが分かります。

※ 109万円 ÷ 40年 = 27,250円

私はこれまでに5,000人以上のお客様の年金相談を承ってきました。その中には、会社員の期間が長い方もいます。

老齢厚生年金の額は、期間とその間の平均年収等で決まります。

もちろん私にお客様の平均年収がわかるわけもありません。したがって、お客様に老齢厚生年金をいくらもらえるのかと問われても答えることはできません。

しかし、今はねんきん定期便があり、そこには老齢厚生年金の見込額も記されています。

あくまでも経験則ですが、男性が1年間平均的な年収で勤めると25,000円~30,000円程度の老齢厚生年金を作ることができます。

したがって、世間並みの年収で40年間厚生年金に加入したときの、老齢厚生年金の額は

25,000円 × 40年 = 1,000,000円

30,000円 × 40年 = 1,200,000円

厚生労働省のお知らせにある標準年金額と概ね一致をすることが分かります。

ただし、この前提は男性で40年間一つの会社に勤めたというものです。

実際問題、厚生年金の加入期間が長くても、女性の老齢厚生年金の額は低いのが一般的です。

また、現在、一つの会社に勤め続ける男性は決して多くはありません。

多くは複数の会社を渡り歩いて現在の会社に勤めている場合が多いのですが、年収が上がって転職という方よりも、リストラ等で仕方なく転職した方が圧倒的に多いようです。

転職が重なり、年収が下がれば、老齢厚生年金の額も低くなります。

先ほど、100万円~120万円という数字をご紹介しましたが、現在は厚生年金に40年間加入しても老齢厚生年金の額が100万円よりも少ない方も多いようです。

まとめ

老齢厚生年金に支給額上限がない理由と、老齢厚生年金の標準額をお伝えしてきました。

ところで、お客様の中には65歳以降は約300万円の年金をもらえるという方にお会いします。もちろん、お客様が語る300万円は事実です。

ただ、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合算してもせいぜい200万円が相場です。では、残りの100万円は何でしょうか。

年間300万円の内訳としてもっとも考えられるのは、老齢基礎年金と老齢厚生年金と厚生年金基金の合算です。

お客様に「300万円の中には厚生年金基金も入っていますよね」とお尋ねすると頷く方がほとんどです。

最近は厚生年金基金の解散が相次いでいるので、多額の厚生年金基金を受け取っている方も少なくなりましたが、今でもたまにお目にかかります。

では、一般的に考えられる老齢厚生年金の支給額上限はどの程度でしょうか。

老齢厚生年金に支給額上限はなありませんが、老齢厚生年金は社会保障の中で行われている制度なので、それほど高額の金額にはなりません。

私の経験則でいえば、老齢厚生年金をもっとも多く受け取っている方で年額160万円前後。

実際にはもっと多いという方もいるかもしれませんが、1年で500人程度のお客様とお会いする中で、老齢厚生年金を150万円以上受け取っている方はほんの数人。

160万円と書きましたがこの金額を超えるような方は、現在の年金相談に来られるお客様の中ではほとんどいないように思えます。

世間並みの年収で一つの会社に40年勤め続けた方の老齢厚生年金は100万円~120万円程度。

終身雇用制はすでに崩れているので、厚生年金に40年加入しても100万円に行かない人もかなりいます。

反対に老齢厚生年金の支給額上限は160万円前後。でも、こうした方にお会いすることはむしろ珍しいといえます。

今後、公的年金は少子高齢化の影響(マクロ経済スライド)で給付が抑制される傾向にあります。

公的年金の額が急激に減るわけではありませんが、やはり50代の方は積極的に自分年金作りを考える必要がありそうです。