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厚生年金は何年払えば満額になるの?その答えをお伝えします

厚生年金のイメージイラスト
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年金相談をしていると「厚生年金は何年払えば満額になるの?」あるいは「厚生年金を40年払っていれば満額になるんでしょ」というご質問を受けることがあります。

年金相談に来られるお客様は50代の方がほとんどですが、この質問は50代の男性から寄せられることが圧倒的に多いという特徴があります。

老後の収入の柱として年金は大切だという認識があるものの、あまり深く考えたくないと思う方もかなり多いようで、厚生年金には満額が存在すると思う方がいるのも仕方がないところです。

この記事では、「厚生年金は何年払えば満額になるの」。その答えを簡単にお伝えしていきたいと思います。

老齢基礎年金の満額とは

結論を先に書くと、年金で満額という言葉を使うのは老齢基礎年金だけです。老齢厚生年金に「何年払えば満額になる」という考え方はありません。

ここでは、まず老齢基礎年金の満額についてお伝えします。

国民年金から支給されるのが老齢基礎年金で65歳から終身で支給されます。

国民年金に加入するのは20歳から60歳になるまでの40年間(480月)で、すべてにわたって国民年金保険料を納付すると満額の老齢基礎年金が支給されます。

年金額は毎年度見直しをされるので金額も変化をしますが、年額約80万円が満額になります。

さて、国民年金保険料を支払うのは誰でしょうか。

最初に思い浮かぶのが、自営業者の方など国民年金第1号被保険者です。

国民年金第1号被保険者の強制加入期間は20歳~60歳までの40年間で、すべて国民年金保険料を納付すると満額になります。

では、それ以外で国民年金保険料を納付しているのは誰でしょうか。

国民年金法では、国民年金に加入する人について3つの種別を設けています。それが、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者です。

第2号被保険者は会社員や公務員など、いわゆる「被用者年金」に加入している方で、給与や賞与などから厚生年金保険料が差し引かれています。

厚生年金保険料を支払っているので老齢厚生年金を受けられるわけですが、20歳から60歳になるまでの厚生年金保険料の中には国民年金保険料も含まれています。

20歳前、60歳以降の厚生年金保険料には国民年金保険料は含まれていません。

ただし一定要件を満たした場合は、老齢基礎年金と同じような計算をした「経過的加算」が、厚生年金の制度から支給されます。

第3号被保険者は第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者です。

第3号被保険者は、自らが国民年金保険料を支払っているわけではありませんが、支払ったものとみなされます。

国民年金保険料は20歳以上60歳未満であれば、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者のすべてが納付しています。

この中で、第2号被保険者と第3号被保険者については未納はありません。

例えば、40年間すべてにわたって第2号被保険者や第3号被保険者であったという人は、65歳からの老齢基礎年金は満額になります。

一方、第1号被保険者は自ら国民年金保険料を納付しなければならないので、40年間のどこかで未納が発生していることもあります。

また、国民年金には猶予や免除という仕組みがあります。猶予は老齢基礎年金額の計算対象にはなりませんし、免除は老齢基礎年金額が減額して計算されます。

老齢基礎年金が満額になる人は前述のとおりですが、老齢基礎年金が満額にならない人はどのような人でしょうか。

まず、考えられるのは20歳から60歳までの間で年金制度に加入していなかった時期がある人です。

また、ずっと年金制度に加入していた方でも第1号被保険者として国民年金保険料を未納にしていた、あるいは猶予や免除を利用していた方も満額にはなりません。

以上のように、老齢基礎年金に関しては「満額」という考え方が存在をします。

厚生年金に「何年払えば満額になる」という考え方はない

老齢基礎年金も老齢厚生年金も支給開始は65歳です。

ただ、かつての老齢厚生年金は60歳で支給されていたため、性別と生年月日に応じて60歳から65歳へと支給開始年齢を徐々に引き上げるという経過措置がありました。

この経過措置の年金を「特別支給の老齢厚生年金」と称しています。

また元々の厚生年金は2階建てで、1階を「定額部分」、2階を「報酬比例部分」としていました。

実はこの定額部分については、現在の老齢基礎年金と似たような仕組みを持っていたので「満額」という考え方もありました。

ただし、原則として男性で昭和24年4月2日以降生まれ、女性で昭和29年4月2日以降生まれの方に定額部分は支給されないので、この方々は報酬比例部分の年金だけを受け取ることになります。

さらに、男性で昭和36年4月2日以降生まれ、女性で昭和41年4月2日以降生まれの方には報酬比例部分もありません。

この段階で、経過措置として残っていた「特別支給の老齢厚生年金」はなくなります。

このサイトは「50歳台で考える老後のお金」をテーマにしていますが、既に50代の多くの方が「特別支給の老齢厚生年金」を受けられない方だと思われますので、これからは65歳からの老齢厚生年金に絞って考えていきたいと思います。

では、老齢厚生年金の金額はどのようにして計算されるのでしょうか。

ざっくりと言ってしまえば老齢厚生年金の額は、厚生年金の加入月数と、厚生年金に加入していた期間の給与や賞与に基づいて計算されます。

老齢厚生年金の額は、厚生年金の期間が長い方ほど、加入期間中の給与や賞与の高い方ほど多くなります。

私がお会いしたお客様の中には、中学を卒業して65歳まで一つの会社に勤めていた方もいます。

この方の厚生年金加入期間は16歳から65歳までの約50年間ですが、老齢厚生年金は1ヶ月の加入でも50年の加入でも、定められた計算式に基づき算出されるので「満額」という考え方は存在しません。

まとめ

この記事は「厚生年金は何年払えば満額になるの」をテーマにしました。

結論を言えば、老齢基礎年金に満額はあるけれど、老齢厚生年金に満額は存在しないということになります。

「厚生年金に40年加入してもう満額になるから会社を辞めたい」というお客様にお会いすることがあります。

そこで、お客様に「もう仕事をお辞めになりたいんですか」と尋ねると、「これから働き続けても老齢厚生年金が増えないんだったら仕事を辞めようかなと思うけど、年金のことがなければ仕事を続けたい」という方もいます。

そこで「老齢厚生年金に満額はありませんよ」とお伝えすると、何かが吹っ切れたような感じでお帰りになるお客様が多いのがとても印象的です。