家計の現状把握と分析をするとき、まず手掛けるのが収入と支出をそれぞれ表にすることです。表で「見える化」することで、現状と問題点などが浮かび上がってきます。
将来のライフプランを考えるときは、まずは現状把握が大切で、そのために行う作業が収入と支出の洗い出しです。
ただ、その先のライフプランニングを考えたとき、もう一つしておきたいのが資産と負債を把握して個人のバランスシートを作っておくことです。
資産と負債のバランスシートを作ることで純資産を把握することができます。また負債に関して言えば、返済の順番などを確認することができます。
家計のバランスシートは、将来のライフプランニングを的確につかむために作っておきたいものです。
また、最近では「終活」という言葉が一般化していますが、家計のバランスシートは相続の参考資料にもなります。
家計のバランスシートの作成は難しくありません。ぜひ、作成なさってみてください。
現在の資産を把握する
現在の資産を把握するためには、項目を設定しそれぞれに金額を書き込むことになります。項目の設定は自由ですが、次のような項目を入れてはいかがでしょうか。
ここでは、表形式で書き方をお伝えします
資産の部の表(例)
現金 | 万円 |
---|---|
普通預金・通常貯金など | 万円 |
定期性の預貯金 | 万円 |
貯蓄機能のある保険 | 万円 |
株式・債券 | 万円 |
投資信託 | 万円 |
その他の金融商品 | 万円 |
住宅(土地・建物) | 万円 |
資産の合計 | 万円 |
現金~定期性の預貯金は、実際の金額を記載します。
貯蓄機能のある保険は、個人年金保険が代表にあげられますが、これ以外にも終身保険・養老保険、学資保険なども挙げられます。
計上する金額は、今、解約したらいくらになるかという「解約返戻金」を記載します。解約返戻金は保険会社などから送られてくる資料で確認することができます。
株式・債券、投資信託も現時点での見込み額を記載します。
住宅(土地・建物)は表を作成する時点での実勢価格を書きます。もっとも実勢価格を把握するのは案外と難しいものです。
そこで利用したいのが、固定資産税の納付書についている土地と建物(家屋)の評価額です。
一般論ですが、土地の実勢価格を0.7倍したのが固定資産税の土地評価額と言われています。
「固定資産税の土地の評価額÷0.7」で概ねの実勢価格を求めることができます。
※ ただし、これはあくまでも一般論で、土地の状況によっては当てはまらない場合もあります。また、固定資産税の評価額の見直しは3年に1回なので、時間的なずれが生じることもあります。
家屋の場合、新築からの経年によって固定資産税の評価額も低くなっていきます。ただし、0円にはなりません。
一方、古い家屋の場合は売買に際して取り壊しが前提になっていることもあれば、その取り壊し費用を負担しなければいけないこともあります。
特に古い建物の場合、固定資産税の評価額はあまりあてにしない方がよいかもしれません。
現在の負債を把握する
負債の部の表(例)
住宅ローン | 万円 |
---|---|
自動車ローン | 万円 |
カードローン | 万円 |
その他の借入金 | 万円 |
負債の合計 | 万円 |
資産の部と同じように、負債の部も項目ごとに記載をします。個々人で負債の内容は異なりますので、項目は適宜設定をしてください。
純資産の確認と対策の方法
純資産は次の計算式で求めることができます。
資産の合計 – 負債の合計 = 純資産の額
純資産の額がプラスであれば一安心です。
一方、純資産の額が少ない方や、マイナスの方は対策を立てる必要があります。
現実に資産を増やすことは難しいと思いますので、対策は負債を減らすことが中心になります。
負債を減らす時、一番に考えたいのは「金利」が高い負債を積極的に減らしていくということです。
また金利が同等の場合は、負債額の大きなものから減らしていくということです。
その昔、住宅購入でローンを組むとき、住宅は将来必ず値上がりするものだから、借金(住宅ローン)も財産のうちなどと言われていた時代もありました。
でも、ローンは財産ではなく、紛れもなく借金です。できるだけ早く借金を返すことが得策と言えるでしょう。
さいごに
この記事では、資産と負債を表にして「見える化」したうえで純資産を確認すること。そして、負債があるときの対策の基本をお伝えしてきました。
ライフプランニングを考えるとき、資産と負債を把握して個人のバランスシートを作っておくことがおすすめです。
またバランスシートは1回作っておしまいということではなく、定期的な見直しもしておきたいところです。
毎月のように作成する必要はありませんが、1年に1回程度は確認をされてはいかがでしょうか。