このサイトは主に50代の方を対象に、老後のお金について様々なことをお伝えしています。
ところで、老後のお金のことを考える方に特におすすめをしているのがライフプランの立案(ライフプランニング)です。
人生100年時代を迎え、多くの人が今までよりも長い老後を過ごす可能性が高くなっています。しかし老後が長くなることで、老後のお金を心配する方も増えています。
そこで役立つのがライフプランニングです。
ライフプランニングは大切です。
でも、いきなり将来のライフプランを考えることはおすすめしません。ライフプランニングの前に、ぜひともしておきたいのが家計の現状分析です。
家計の現状をしっかりと把握することで、ライフプランニングもより的確なものになってきます。
収入とは何か、支出とは何か、そして収入と支出を表にすることで客観的に家計の現状を知ることできます。
また、収入と支出を表にすることで家計の問題点が浮かび上がってくることもありますが、その分析のポイントも簡単にお伝えしていきます。
目次
収入とは何か
ライフプランで求める収入は「可処分所得」です。可処分所得は「手取り収入」と言い換えることもできます。
所得で思い浮かべるのは、所得税や住民税で求める所得かもしれません。しかし、ライフプランで求めるのは「可処分所得(手取り収入)」です。
では可処分所得とはどのようなものなのでしょうか。可処分所得は簡単に言えば、実際に「懐に入ってくるお金」のことです。
最終的に可処分所得は年単位で算出しますが、求め方は会社員と自営業の方では少しばかり異なります。
会社員の可処分所得の求め方
会社員の1年あたりの可処分所得の計算式は次のとおりです。
給与収入 – (社会保険料+所得税・住民税) = 可処分所得(手取り収入)
給与収入がそのまま可処分所得であればうれしいところですが、実際には社会保険料や税が天引きされて振り込まれます。
実際に振り込まれるのが可処分所得です。
では、可処分所得を求める上で計算の要素になる給与収入・社会保険料・所得税・住民税はどうしたら確認できるのでしょうか。
給与収入・社会保険料・所得税と住民税では確認の方法が異なります。
源泉徴収票で確認
給与収入・社会保険料・所得税は、勤務先から受け取る「源泉徴収票」で確認することができます。
給与収入は「支払金額」欄、
社会保険料は「社会保険料の金額」欄、
所得税は「源泉徴収税額」欄に記載をされています。
毎月の給与明細で確認
住民税は源泉徴収票に記載されていません。住民税は、勤務先から受け取る毎月の給与明細、あるいは納税通知書で確認することができます。
自営業の可処分所得の求め方
自営業の1年あたりの可処分所得の計算式は次のとおりです。
事業収入 – 必要経費 – (社会保険料+所得税・住民税) = 可処分所得(手取り収入)
会社員と異なるのは、事業収入から、その収入を得るために要した経費を差し引くところです。社会保険料・所得税・住民税を差し引くことについては変わりはありません。
確認の方法は住民税以外は確定申告書、住民税は納税通知書になります。
可処分所得(手取り収入)を表にする
1年間の可処分所得(手取り収入)は、表にして書き出すとわかりやすくなります。
表の例
収入金額 | 万円 |
---|---|
必要経費(自営業の場合) | 万円 |
所得税 | 万円 |
社会保険料 | 万円 |
住民税 | 万円 |
① 年間の可処分所得 | 万円 |
表は定型のものはありません。また、上記は単身の場合ですが、ご夫婦の場合などはそれぞれに作成し、最終的に合算してください。
支出とは何か
収入とは異なり支出の考え方は簡単で、1年間の支出をそのまま合計することで求めることができます。
ただ合計を求めただけでは、後で分析をすることが難しくなります。
支出はいくつかの項目に分け、最終的に年間支出の合計を求めることになります。
支出の項目と内訳
基本生活費 | 食費・水道光熱費・通信費・日用消耗品・教養娯楽費など |
---|---|
住居費 | 住宅ローン・管理費・積立金・固定資産税・賃料など |
車両費 | 自動車ローン・ガソリン代・駐車場代・税金・保険など |
教育費 | 授業料・塾代など |
保険料 | 生命保険・損害保険など |
その他 | レジャー・交際費・冠婚葬祭費など |
項目の設定は自由ですし、内訳も制約はありません。ご自身でわかりやすいように作成してください。
支出を表にする
表の例
項目 | 毎月の支出 | 毎月の支出×12(a) | 年数回の支出(b) | 年間支出(a+b) |
基本生活費 | 万円 | 万円 | 万円 | 万円 |
住居費 | 万円 | 万円 | 万円 | 万円 |
車両費 | 万円 | 万円 | 万円 | 万円 |
教育費 | 万円 | 万円 | 万円 | 万円 |
保険料 | 万円 | 万円 | 万円 | 万円 |
その他 | 万円 | 万円 | 万円 | 万円 |
②年間の支出額 | 万円 |
支出を表にするときの留意点
収入とは異なり支出は実際に要した費用を計上します。考え方は簡単ですが、実際に計算するのは収入よりも面倒です。
家計簿をつけている方は、その金額を元に支出の表を作成してみてください。作成することで、支出の「見える化」を図ることができます。
ただ家計簿をつけていない方も多いと思います。そのようなときは大まかでも良いので、支出を推計し表を作成してみてください。
この場合、逆算して支出を求めるという方法があります。
その計算式は次の通りです。
1年間の収入額 - 1年間の貯蓄額 = 1年間の支出額
収入額は、可処分所得という考え方さえ理解すれば割と簡単に求めることができます。
貯蓄額は、預金通帳などで大まかですがつかむことができます。
収入額から貯蓄額を差し引いたのが支出額なので、最終的には1年間の支出額を各項目に当てはめます。
家計簿をつけている方に比べると正確性に劣るかもしれませんが、まずは作ってみることが大切です。
将来のライフプランを考えている方は、ぜひとも表の作成に取り掛かってください。
収入と支出の現状把握
収入の表と支出の表ができたら次にすることは差し引きしてみることです。
① 年間の可処分所得(万円) – ② 年間の支出額(万円)
①-②がプラスの数字であれば、その年は貯蓄ができたことになります。
①-②がマイナスの数字であれば、その年は貯蓄を取り崩したことになります。
まとめ 現状を分析する
現状把握ができたら、最後に分析をしておきたいものです。この記事のまとめとして、分析の方法を簡単にお伝えします。
収入-支出がプラスだった場合
1年間の収支が黒字だったということで一安心です。ただ、将来のライフプランを考えると、しっかりとした分析はしておきたいところです。
実際のところ、収入を増やすことはなかなか難しい面があります。ここでの分析は支出の分析になります。
先ほど支出の表をご紹介しました。黒字の方も、「基本生活費」から「その他」まですべての項目を、もう一度見直してください。
たとえば、基本生活費の中の通信費はもっと安くできないだろうか。保険料は無駄な保障を省いて節約できないだろうか。
表を見ているといろいろな課題が浮かび上がってくるはずです。
また支出の見直しは、まだ余裕がある黒字のときにこそしておきたいものです。黒字の方も一度立ち止まって、ぜひ、さらなる黒字化が可能かどうか分析をなさってください。
収入-支出がマイナスだった場合
収入-支出がマイナスだと、やはり問題です。
ただし、その年だけマイナスになったということもあります。
ライフイベントの中には大きな支出を伴うものがあります。計算をした年が、たまたま大きな支出があった年だった。こんな時は、その一時的な支出を除いて分析なさってみてください。
特に大きな支出もなかったのにマイナスだった。そのような場合は、支出の見直しが必要です。
ただし、全体を見直すというよりも、支出の項目ごとに見直して対策を立てることをおすすめします。
見直しのポイントはさまざまにありますが、まず最初にしたいのが「使途不明金」です。
1年を振り返ってみると「何に使ったのかわからない」というお金は案外と多いもので、そのお金は「その他の支出」に紛れ込んでいることも考えられます。
まずは「その他の支出」に紛れ込んでいる可能性が高い使途不明金を探し出してみてください。
使途不明金は無駄なお金であるので、まずはそれを探し出す。そのうえで、他の項目で無駄になっていそうな支出を探し出す。
単年のマイナスならば仕方ないかもしれません。でも、一時的な大きな支出もないのに、マイナスの年が続いている。
こんな時は、早急な見直しが必要です。
さいごに
この記事では、将来のライフプランニングを考える前にしておきたいこと。
具体的には、収入と支出の表を作って、さらに家計の現状分析をする方法についてお伝えしてきました
収入は考え方が少し難しいし、支出は項目が多くて面倒かもしれません。ただ、ここでの努力が、あなたの将来をさらに明るくする可能性があります。
収入と支出を表にして家計を「見える化」とたうえで、ぜひ、現状分析をなさってみてください。
そして、次のライフプランニングにつなげてみてください。