この記事では、インデックス投資信託とは何か。そして、インデックス投資信託をおすすめする理由を簡単解説していきます。
現在、日本国内で一般に販売されている投資信託は約6,000本と言われています。
投資信託にはそれぞれ名前がついていて性格も千差万別ですが、投資信託はいくつかの切り口から分類することができます。
その切り口の一つが「運用手法」に基づく分類で、投資信託の運用手法は大きく分けてパッシブ運用とアクティブ運用の2つがあります。
そして、パッシブ運用の代表的なものがインデックス投資信託です。
それでは、まずはインデックス投資信託とは何かについてお伝えをしていきます。
インデックス投資信託とは何か
パッシブ運用の代表的なものがインデックス投資信託です。では、パッシブ運用とはどのような運用手法でしょうか。
投資信託を運用とするとき「ベンチマーク」という目標を定めます。
パッシブ運用は、目標とするベンチマークに忠実に連動するような運用をすることで、インデックス運用と称することもあります。
運用手法には、もう一つアクティブ運用があります。
アクティブ運用はベンチマークを定めるところまではパッシブ運用と同じですが、ベンチマークを上回ることを目標として運用を行います。
ベンチマークに追随するのがパッシブ運用、ベンチマークを上回る運用を目指すのがアクティブ運用です。
なお、ベンチマークの例としては次のようなものがあります。
投資信託のベンチマークの主なもの
国内株式 | TOPIX(東証株価指数)、日経平均株価 |
---|---|
国内債券 | ノムラBPI総合インデックス |
外国株式 | MSCIKOKUSAIインデックス |
外国債券 | シティグループ世界国債インデックス |
インデックス投資信託をおすすめする理由
それでは、インデックス投資信託をおすすめする理由のいくつかをご紹介していきます。
1 信託報酬が低い
インデックス投資信託など、パッシブ運用が目標とするのはベンチマークです。
一方、アクティブ運用が目標とするのはベンチマークを上回ることです・
ベンチマークに追随するのであれば、運用手法を構築するのはそれほど難しくはありません。
ところがベンチマークを上回ることを目標にすると、運用手法を上回るための工夫が必要ですし、運用手法の構築には時間も手間もかかります。
では、時間や手間に要するコストをだれが負担するのかというと私たち投資家です。
投資信託を運用しているときにかかるのが「信託報酬」で、これは私たちが負担するコストになります。
ベンチマークに追随することを目的とするパッシブ運用は、運用手法の構築に手間がかからない。
ベンチマークを上回ることを目的とするアクティブ運用は運用手法の構築に手間がかかる。そして、そのコストは信託報酬という形で投資家が負担をする。
あくまでも一般論ですが、パッシブ運用とアクティブ運用を比較すると、パッシブ運用(インデックス投資信託)の方が信託報酬が低くなります。
2 運用成果がわかりやすい
パッシブ運用が目標とするのはベンチマークです。
たとえば、TOPIX(東証株価指数)をベンチマークとするパッシブ運用の投資信託であれば、ニュースなどで毎日のTOPIXの数字を確認すれば概ねの動向が把握できます。
一方、アクティブ運用が目標とするのはベンチマークを上回ることなので、様々な工夫が行われています。
ベンチマークを上回ることが目標と書きましたが、上回る可能性があるということは、下回る可能性もあるということです。
パッシブ運用とアクティブ運用を比較すると、パッシブ運用はベンチマークとほぼ同じ動きをするのに対して、アクティブ運用は「ぶれ」が大きくなります。
また費用面を比較してもアクティブ運用は信託報酬が高くなる傾向にあります。信託報酬は毎日投資信託の財産から差し引かれるものです。
日々差し引かれる信託報酬の額はそれほどではなくても、長期投資を前提にするとその差は大きくなります。
もちろん、信託報酬の額が大きければ運用成績にも影響を及ぼします。
パッシブ運用はベンチマークに追随するので運用成果がわかりやすい。
アクティブ運用は収益のブレがあるだけでなく、差し引かれるコストもあるので、運用成果が分かりにくいという特徴があります。
3 日々の動きを気にしなくても良い
株式投資には「デイトレード」という言葉があります。これは、1日の中で何回も売買を繰り返して利益を出す手法です。
一方、投資信託でデイトレードという言葉を聞くことはありません。
株式投資は、長期投資も短期投資もできる金融商品なので、短期投資としてデイトレードという言葉が生まれています。
一方、投資信託の基本的な運用手法は長期投資です。
デイトレードで収益を上げるためには、常に値動きを見張っていなければなりません。
でも、長期投資でそんなことができるでしょうか。そんなことをしたら、すぐに心も体も疲れ切ってしまいます。
長期投資を前提とする投資信託の場合、日々の動きを気にしなくても良いという特長があります。
したがって、投資に不慣れな方であっても投資信託は手軽な金融商品になってきます。
また、パッシブ運用とアクティブ運用では、日々の動きを気にしなくても良い点にも差が生まれます。
先ほどお伝えした通り、パッシブ運用はニュースなどで確認すればおおよそのことはわかります。
一方、アクティブ運用は値動きのブレがあるので、株式ほどではありませんが、パッシブ運用よりは確認の作業が増えるかもしれません。
まとめ
この記事では、インデックス投資信託とは何か、インデックス投資信託をおすすめする理由を3点ほどご紹介してきました。
私自身、これまで(少額ずつですが)数十本の投資信託を購入してきましたが、年齢を重ねるとともに安全志向が強くなり、多くの投資信託を解約してきました。
私が購入した投資信託は、インデックス投資信託が8割で、アクティブ型の投資信託は2割です。
私がまず解約をしたのは、アクティブ型の投資信託です。アクティブ型の投資信託をまず解約して、状況を見ながらインデックス投資信託を解約してきました。
アクティブ型の投資信託を最初に解約したのは、信託報酬などのコストが高く、運用成績もインデックス投資信託よりも劣るという理由からです。
もちろん、アクティブ型の投資信託の方が運用成績が良い場合もたくさんあるのは事実ですが、私の場合はそうではなかったようです。
ところで、国が後押ししている制度に積立NISAがあります。
積立NISAは税制面で優遇をするので、投資信託を積立購入してお金を育ててくださいという制度です。
日本国内には6,000本を超える投資信託がありますが、積立NISAを主導する金融庁ではその中から181本(2020年4月1日現在)を厳選して、積立NISAで購入できる投資信託を紹介しています。
その内訳をみると
インデックス投資信託 | 156本 | 86.2% |
アクティブ型投資信託 | 18本 | 9.9% |
上場株式投資信託(ETF) | 7本 | 3.9% |
積立NISAの主力がインデックス投資信託であることがはっきりとわかります。
アクティブ型投資信託を否定するわけではありませんが、投資信託を購入した経験が少ない方には、インデックス投資信託がおすすめと言えそうです。