人生100年時代の到来で、老後を長く過ごす方が多くなっています。ただ老後が長くなれば、それだけお金もたくさんかかります。
そのため、これからは老後のお金の準備がより大切になってきます。
ところで、このサイトは「50歳台で考える老後のお金」をテーマにしています。
昔と異なり50代を老後と考える人はほとんどいませんし、実際には65歳や70歳を老後のスタートと考える方も多いのではないでしょうか。
でも長生きをすれば誰にでも老後は訪れます。老後は収入が少なくなる一方、支出はある程度のお金が継続的にかかってきます。
ただ50代の方にとって老後はまだ先の話で、老後資金を準備する時間はまだまだ残されています。
では老後資金の貯め方を考えたとき何がポイントになるのでしょうか。
この記事では、50代の方の老後資金の貯め方、具体的な計算方法についてお伝えをしていきます。
結論を言えば、50代の方の老後資金の貯め方は「積立」がキーワードになります。50代は積立で老後資金を着実に準備するのが何よりもおすすめです。
目次
50代は積立で老後資金を貯めていこう
老後を迎えたとき、初めて老後資金は3000万円必要だと言われたらどうでしょう。
その人にすでに十分な老後資金があれば別ですが、そうでなければ急にそんなことを言われても途方に暮れるばかりです。
老後資金がどの程度必要かは人それぞれですが、相当の金額が必要になることは確かです。
50代の方は老後までの時間がまだあります。
老後を迎えたとき途方に暮れるくらいなら、できるだけ早い時期から老後資金の準備に取り掛かっておきたいものです。
もっとも50代は働き盛りである反面、住宅資金や教育資金など支出が多い時期なので、一遍にたくさんのお金を老後資金に振り向けることは難しいのではないでしょうか。
ところで、効率的な資産運用の方法の一つに「時間分散」があります。
時間分散とは、一度に多額のお金を拠出するのではなく、金額は少なくても積立の期間が長ければ長いほどお金は貯めやすくなるというものです。
50代の方は老後までの時間も長いので、何よりも「時間」を味方にすることができます。
50代の方は、無理のない範囲の金額で、継続して長い期間の積立をしていく。小さなことの積み重ねで老後資金を貯めていくのが何よりもおすすめです。
老後資金の貯め方 積立の2つのアプローチ
老後資金の貯め方は積立が効果的とご紹介しましたが、これには2つのアプローチがあります。
① 一定額の積立を継続して老後資金を貯める
② 老後資金の目標額を定めて毎年の積立額を決める
①の「一定額の積立を継続して老後資金を貯める」とは、毎年一定の金額で一定の運用利率を続けた場合、将来はどの程度の金額になるかを計算するものです。
②の「老後資金の目標額を定めて毎年の積立額を決める」とは、あらかじめ将来の目標額と一定の運用利率を定めた場合、毎年の積立額がどの程度必要かを計算をするものです。
老後資金の貯め方 係数表を使って計算する
資産運用でさまざまな金額を求めるとき使うのが係数表です。係数表は6種類ありますが、ここで使うのは「年金終価係数」です。
まずは「年金終価係数表」をお示ししておきます。
年金終価係数表
1% | 2% | 3% | 4% | 5% | |
1年 | 1.000 | 1.000 | 1.000 | 1.000 | 1.000 |
5年 | 5.101 | 5.204 | 5.309 | 5.416 | 5.526 |
10年 | 10.462 | 10.950 | 11.464 | 12.006 | 12.578 |
15年 | 16.097 | 17.293 | 18.599 | 20.024 | 21.579 |
20年 | 22.019 | 24.297 | 26.870 | 29.778 | 33.066 |
係数表を利用する1
最初に年金終価係数表を使って、「一定額の積立を継続して老後資金を貯める」方法をお伝えします。
これは、毎年一定の金額で一定の運用利率を続けた場合、将来はどの程度の金額になるかを計算するものです。
例 毎年60万円(1ヶ月当たり5万円)を年利2%で積み立てた場合、15年後はいくらになっていますか。
60万円 × 17.293 = 1037.58万円 ≒ 1038万円
この計算のポイントは、「掛け算」で将来の金額を求めるということです。
年金終価係数表は、毎年の積立額から将来の金額を計算するときに使う係数です。
この事例の場合、毎年の年末に60万円(1ヶ月当たり5万円)ずつ積立をします。そして利率2%で、15年間積立を続けた場合に、最終的に元利合計で1038万になるというものです。
※ 係数表は複利計算を前提にしています。
※ 利息に対する税金は考慮していないので実際の金額は計算よりも少なくなります。
係数表を利用する2
次に年金終価係数表を使って、「老後資金の目標額を定めて毎年の積立額を決める」方法をお伝えします。
これは、あらかじめ将来の目標額と一定の運用利率を定めた場合、毎年の積立額がどの程度必要かを計算をするものです。
例 20年後に1000万円を受け取るために年利2%で積み立てた場合、毎年の積立額はいくらになりますか。
1000万円 ÷ 24.297 = 41.16万円 ≒ 42万円(1ヶ月3.5万円)
この計算のポイントは、「割り算」で1年当たりの積立額を求めるということです。
この事例の場合、20年後の1000万円を目標とするもので、利率2%の運用を前提としています。
そうすると1年あたり42万円(1ヶ月3.5万円)の積立が必要になることが分かります。
※ 年金終価係数表は、毎年の積立額から将来の金額を計算するときに使う係数です。本来、将来の目標額を求めるときに使う係数は「減債基金係数」で「掛け算」で金額を算出します。ただし、割り算を使えば年金終価係数でも求めることができます。
たくさんの表をお示しすると混乱してしまう可能性もあります。
一つの係数表で、「一定額の積立を継続して老後資金を貯める」「老後資金の目標額を定めて毎年の積立額を決める」どちらのアプローチも可能なので、この記事では年金終価係数表のみをご紹介しています。
減債基金係数を使ってみる
1000万円 × 0.0411(減債基金係数、20年・2%) = 41.10万円
多少の誤差は生じますが、概ね同じ結果になることがわかります。
老後資金の貯め方のポイント
この記事では年金終価係数表を使って、一定額の積立を継続して老後資金を貯める計算方法と、老後資金の目標額を定めて毎年の積立額を決める計算方法をお伝えしてきました。
毎年の積立に回せる金額が「○○円」と決まっているときは、一定額の積立を継続して老後資金を貯める計算方法。
将来の目標額が「○○円」と決まっているときは、老後資金の目標額を定めて毎年の積立額を求める計算方法。
それぞれを使い分けて計算していただけたらと思います。
それでは記事の最後に老後資金の貯め方のポイントをいくつかお伝えします。
老後のお金の貯め方としてもっとも大切なのは、時間を味方につけることです。何よりも時間をかけて継続して、老後のお金を貯めることが大切です。
したがって、積立は少しでも早く始めることがおすすめです。
それ以外のポイントとしては、無理のない金額で積立をしていく。
運用利率を過度に高くしないというのもポイントとして挙げられます。
人によっては積立額を高く設定する方がいます。目標額を達成するには、積立の高額設定が必要な場合もありますが、それでは今の生活がとても厳しくなっています。
現在の生活にかかるお金と、将来必要とするお金はバランスも大切です。長期間の積立を考えると「息切れ」しないことも大切なので、無理のない範囲で積立額を設定してください。
また、運用利率を高くすれば貯められるお金も増えてはいきます。ただ、ハイリターンの裏にはハイリスクがあります。
老後のお金は確実に貯めることが何よりも大切なので、このあたりのバランス感覚も大切です。
ただ実際問題として、預貯金だけで年利1%や2%を求めることはできません。
今後は預貯金を中心としながらも、その他の金融商品でお金を増やしていくという感覚も必要になってきそうです。
積立て貯めることを重視する
積立は長い期間行う(早くから始める)
積立は継続して行う
積立額は無理のない範囲で設定する
積立をするときの運用利率は過度に高くしない
預貯金だけでなくその他の金融商品の利用も検討する