このサイトは「50歳台で考える老後のお金」をテーマにしています。
お金の面で老後の大きな特徴は、一般的に現役時代よりも収入がかなり少なくなるということです。
一方、支出はどうでしょうか。
現役時代と比較したら多少は少なくなるかもしれません。でも生活をしている以上、日常の生活費はかかりますし、イベントがあると一時的な支出が必要になることもあります。
この記事では、老後資金はいくら必要なのかということで、日常の生活費だけでなくイベント費用についてもお伝えをしていきます。
目次
老後資金はいくら必要なの
老後資金はいくら必要なのでしょうか。
まずは、日常生活を送るうえで必要な生活費について考えてみたいと思います。
ここで使う資料は、総務省の「家計調査年報(家計収支編)」です。この記事では2018年(平成30年)の資料を使って生活費を算出します。
高齢夫婦無職世帯の生活費(1か月当たり)
統計では、夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯を高齢夫婦無職世帯としています。
高齢夫婦無職世帯の1か月当たりの消費支出は235,615円で、内訳は次のとおりです。
食料 | 27.7% | 65,000円 |
住居 | 5.8% | 14,000円 |
光熱・水道 | 8.4% | 20,000円 |
家事・家事用品 | 4.0% | 9,000円 |
被服及び履物 | 2.6% | 6,000円 |
保健医療 | 6.4% | 15,000円 |
交通・通信 | 11.9% | 28,000円 |
教養娯楽 | 10.3% | 24,000円 |
交際費 | 10.9% | 26,000円 |
その他 | 11.9% | 28,000円 |
合計 | 99.9% | 235,000円 |
※ 金額は筆者が割合から算出しています。1,000円単位にしているので合計は235,615円になりません。
なお、生活費は上記の消費支出だけでなく非消費支出もあります。
非消費支出は税金や社会保険料など世帯の自由にならない支出のことで、高齢夫婦無職世帯の1ヶ月当たり非消費支出は29,092円になります。
高齢夫婦無職世帯の1か月当たり生活費
消費支出 | 235,615円 |
---|---|
非消費支出 | 29,092円 |
合計 | 264,707円 |
高齢単身無職世帯の生活費(1か月当たり)
この統計では、60歳以上の単身無職世帯を高齢単身無職世帯としています。
高齢単身無職世帯の1か月当たりの消費支出は149,603円で、内訳は次のとおりです。
食料 | 24.3% | 36,000円 |
住居 | 12.2% | 18,000円 |
光熱・水道 | 8.8% | 13,000円 |
家事・家事用品 | 3.2% | 5,000円 |
被服及び履物 | 2.5% | 4,000円 |
保健医療 | 5.5% | 8,000円 |
交通・通信 | 9.6% | 14,000円 |
教養娯楽 | 11.4% | 17,000円 |
交際費 | 12.2% | 18,000円 |
その他 | 10.2% | 15,000円 |
合計 | 99.9% | 148,000円 |
金額は筆者が割合から算出しています。1,000円単位にしていますので合計は149,603円になりません。
なお、生活費は上記の消費支出だけでなく非消費支出もあります。
非消費支出は税金や社会保険料など世帯の自由にならない支出のことで、高齢単身無職世帯の非消費支出は1ヶ月当たり12,392円になります。
高齢単身無職世帯の1か月当たり生活費
消費支出 | 149,603円 |
---|---|
非消費支出 | 12,392円 |
合計 | 161,995円 |
老後資金(生活費)の計算例
「高齢夫婦無職世帯の1か月当たりの生活費」と「高齢単身無職世帯の1か月当たりの生活費」をご紹介してきました。
では、老後資金のうち中心を占めるであろう生活費は、合計でどの程度必要になるのでしょうか。
ここでは、老後の期間を15年、20年、25年、30年として計算をしてみたいと思います。
計算例1 高齢単身無職世帯の老後資金(生活費)の必要額
老後の期間 | 夫の年齢 | 妻の年齢 | 生活費の合計 |
15年 | 80歳 | 75歳 | 4770万円 |
20年 | 85歳 | 80歳 | 6360万円 |
25年 | 90歳 | 85歳 | 7950万円 |
30年 | 95歳 | 90歳 | 9540万円 |
※ 便宜上、夫の年齢65歳・妻の年齢60歳をスタートにしています。
※ 1年の生活費は318万円で計算をしています。(1ヶ月当たり生活費264,707円×12月=3,176,484円≒318万円)
計算例2 高齢単身無職世帯の老後資金(生活費)の必要額
老後の期間 | 年齢 | 生活費の合計 |
15年 | 80歳 | 2925万円 |
20年 | 85歳 | 3900万円 |
25年 | 90歳 | 4875万円 |
30年 | 95歳 | 5850万円 |
※ 便宜上、年齢65歳をスタートにしています。
※ 1年の生活費は195万円で計算をしています。(1ヶ月当たり生活費161,995円×12月=1,943,940円≒195万円)
計算例3 夫婦2人→1人の老後資金(生活費)の必要額
最後に老後生活のスタートは夫婦2人であったが、その後1人で生活するようになった場合の生活費の計算例をお伝えします。
例 夫婦二人の期間20年、一人の期間が10年であった場合
夫婦2人の期間20年の生活費 | 318万円×20年=6360万円 |
1人の期間10年の生活費 | 195万円×10年=1950万円 |
生活費の合計 | 8310万円 |
老後のイベント費用
老後にかかる一番の費用は生活費です。ただ生活費だけではなく、イベントのための一時的な支出もあります。
では、イベント費用にはどのようなものがあるでしょうか。ここでは代表的なものをご紹介していきます。
住宅のリフォーム費用
車の買い替え費用
旅行の費用
子どもの結婚費用の補助
子どもの住宅購入資金の補助
葬儀の費用
イベント費用はご家庭の状況によって発生の可能性や頻度に大きな違いがあります。また、ライフプランに対する考え方で支出する金額も大きく変わってきます。
ただ老後のライフプランの中でこうしたイベントが見込まれる場合は、日常の生活費とともに、老後資金の必要額として見積もっておくことが望まれます。
まとめ
この記事では、「老後資金はいくら必要なの?」ということで、日常の生活費を中心にイベント費用についてもご紹介してきました。
生活費を求めるために使った数字はあくまでも統計上の平均値なので、当然にブレが発生します。
ただ項目については、ある程度お示しできているので、状況に応じて金額を入れ替えていただければ、1年あたりや全体の生活費を見積もることができると思われます。
老後資金の金額だけを見ると、支出する額の多さに驚くかもしれません。
でも、老後を迎えるまでにある程度の金融資産を用意しておけば、年金がある程度受け取れるのであれば、そして働く期間をもう少し伸ばすことができれば、それだけ収入も大きくなります。
老後資金はいくら必要なのかを見積もったうえで、次にそのための収入の確保についてお考えになってみてください。